前回の都市比較では、東名阪に続く地方の4大都市「札仙広福」を比較しました。
今回は、さらにその「札仙広福」に次ぐ地方の4大都市「新静岡熊」を比較していきたいと思います。
新静岡熊とは、新潟・静岡・岡山・熊本の略です。
この4都市はいずれも2000年以降に政令指定都市に指定され、他の政令指定都市と比べると政令指定都市になって歴史からの日が浅いので、新興政令市とも呼ばれます。
新興政令市ということと、人口や街の規模などが似通っている為、今回比較をしてどの都市が最も発展しているかをデータで見ていきたいと思います。
(この4都市に加えて静岡県浜松市も同規模の都市としてよく挙げられますが、今回は同じ県庁所在地の4都市のみを比較していきます。)
ちなみに札仙広福と違って新静岡熊という言い方は一般的には使用されていないようですが、こちらではわかりやすいように4都市の頭をとって使用させていただいています。
目次
新静岡熊の紹介
1.新潟市
新潟県の県庁所在地で、人口約79万人を有しています。
本州日本海側で唯一の政令指定都市で、街の規模も本州日本海側ではおそらく最大の規模でしょう。
2.静岡市
静岡県の県庁所在地で、人口約69万人の都市です。
人口は県内2位ですが、東京まで新幹線で1時間程と都会への利便性の高さは抜群です。
3.岡山市
岡山県の県庁所在地で、人口は約73万人です。
隣県には中国地方最大都市の広島がありますが、その存在を感じさせない程の独自の拠点性を持っています。代表駅である岡山駅には新幹線の全列車が停車します。
4.熊本市
熊本県の県庁所在地で、人口は約74万人を有しています。
加藤清正が築城した「熊本城」の城下町として古くから発展し、現在でも九州では3番目に人口の多い都市です。
データで比較
比較する点
- 可住地人口密度
- 都市雇用圏人口
- 企業数
- 超高層建築物数(高さ100m以上)
- 年間商品販売額
- 製造品出荷額
- GDP(市内総生産)
- 最高路線価
- 昼夜人口比率
- 中心駅一日平均利用者数
1. 可住地人口密度
可住地人口密度は、可住地面積1㎢あたりの人口を求めたものです。
熊本市・・・・2,259(人/k㎡)
静岡市・・・・2,032(人/k㎡)
岡山市・・・・1,657(人/k㎡)
新潟市・・・・1,178(人/k㎡)
(2017年)
熊本市が一番密度が高い結果となりました。
一番密度の低い新潟市とは倍近くの差があります。
2. 都市雇用圏人口
都市雇用圏人口は、中心都市とその都市への通勤者が一定割合いる周辺地域の人口を合わせたものです。
岡山市・・・・約 152.7万人
熊本市・・・・約 111.1万人
新潟市・・・・約 106.0万人
静岡市・・・・約 98.8万人
(2018年のデータ)
都市単体では2番目に人口の少ない岡山市が一番多い結果となりました。
静岡市やその周辺都市は、東京への通勤者も一定数いるためかやや少ない結果となっています。
3. 企業数
静岡市・・・・25,151
熊本市・・・・23,316
新潟市・・・・21,002
岡山市・・・・20,887
(2016年のデータ)
三大都市をつなぐ大動脈が通り、上場企業も多い静岡市が一番企業数が多い結果となりました。
岡山市はやや企業数が少ないですが、静岡市と比較しても大きく差が開いている訳ではなさそうです。
4. 超高層建築物数(高さ60m以上)
高層ビルを60m以上のビルと定義して、結果を比較します。
静岡市・・・・24棟
岡山市・・・・19棟
新潟市・・・・16棟
熊本市・・・・7棟
(2021年9月時点 ※建設中は除く)
静岡市が唯一20棟を超え、一番多い結果となりました。
高層ビルの数は直接的にその都市の規模がわかる尺度にはなりませんが、景観として都会的に見えるという点では重要になってきます。
5. 年間商品販売額
年間商品販売額は、「卸売業・小売業」等の商業で、1年間に売り買いされた物品の販売額です。
新潟市・・・・ 9611億円
岡山市・・・・ 8842億円
静岡市・・・・ 7968億円
熊本市・・・・ 7800兆円
(2016年のデータ)
新潟市が他の都市と大きな差をつけています。
新潟市の繁華街「万代〜古町」には大型百貨店や多くの中小店舗が並んでおり、納得の結果となりました。
6. 製造品出荷額
製造品出荷額は、各都市の製造業において1年間に生産された工業製品の出荷額の合計額です。
静岡市・・・・約 1.8兆円
新潟市・・・・約 1.1兆円
岡山市・・・・約 1.0兆円
熊本市・・・・約 0.4兆円
(2016年のデータ)
静岡市が一番多い結果となっています。
静岡は県単位では全国3位(愛知、神奈川に次ぐ)の製造業出荷額(2019年時点)を誇っているため、納得の結果となりました。
7. GDP(市内総生産)
静岡市・・・・約 3.3兆円
新潟市・・・・約 3.2兆円
岡山市・・・・約 2.9兆円
熊本市・・・・約 2.6兆円
(2018年のデータ)
静岡市が僅差で一番多い結果となっています。
8. 最高路線価
最高路線価は、道路に面する宅地の1m2あたりの評価額が最も高い場所の額を表します。
熊本市・・・・212万円
岡山市・・・・148万円
静岡市・・・・121万円
新潟市・・・・45万円
(2018年のデータ)
熊本市(下通り)が他の都市を大きく離して一番高い結果となっています。
YouTubeの動画では各都道府県庁所在地の最高路線価をランキングにしていますので、こちらもチェックしてみてください ↓
9.昼夜人口比率
昼夜人口比率は、他地域からの通勤や通学者がどれだけいるかの指標になります。
岡山市・・・・103.6 %
静岡市・・・・103.0 %
熊本市・・・・102.2 %
新潟市・・・・101.5 %
(2016年時点)
都市雇用圏人口が一番多かった岡山市が比率が最も高くなっています。
10.中心駅一日平均利用者数
岡山市(岡山駅)・・・・146,148 人
静岡市(静岡駅)・・・・118,792 人
熊本市(熊本駅)・・・・49,698 人
新潟市(新潟駅)・・・・39,028 人
(2020年のデータ)
新幹線の全列車が停車する岡山駅を有する岡山市が一番多い結果となりました。
結論 + YouTube動画
今回参考にしたデータでは静岡市と岡山市がやや優勢となりましたが、各データの数値は拮抗していて各市にそこまで大きな差はみられませんでした。
この4都市の中では突出した都市はなく、どの項目をみるかによって優劣が決まるほぼ互角の都市であることがわかりました。
今回比較した4都市は非常にポテンシャルが高い都市なので、今後の更なる発展に期待していきたいと思います。
(※あくまで今回参考にしたデータのみから結論を出しています。他にも数多くのデータ、違った視点があることをご理解ください。)